スベン・オットー「クリスマスの絵本」

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スベン・オットー:作・絵 奥田継夫・木村由利子:訳 評論社

スベン・オットーは1916年生まれで、デンマークの画家です。この絵本の文は2行か3行程度で、ほとんどが絵です。

クリスマス・イブに群れている人々の貧富の差を歴然と描いています。特に、ストーリがあるわけではありませんが、お金持ちの人々は明るく、貧しい人々の服装は擦り切れたボロをまとっていて、灰色です。

貧しい人には縁のないクリスマス。お金持ちの人には楽しいクリスマス。作者の終わりの言葉「天にまします、われらの父よ!すべての人に富を、すべての人に愛を。」と結んでいます。

圧倒的な写実と自然さで描いた絵本です。ページをめくる毎に、何とも言えない気持ちになります。この絵本も、世の中の出来事が、ある程度わかる年齢でないと・・・・。

絵の時代背景は、百年か、それより、もっと昔のクリスマス・イブと書いてありますが、今も同じですね。貧富の格差は、これから益々酷くなっていくでしょうから。楽しい絵本とは言えませんが、心が引き締まります。絵も素晴らしいです。

「もみの木」

Img001  ハンス・クリスチャン・アンデルセン/さく   スベン・オットー/え   

きむら ゆりこ/やく ほるぷ出版 

モミの木は常緑の針葉樹で、寒い冬でも緑の葉をつけていますから、クリスマス・ツリーには一番適していたのでしょうね。このモミの木を主人公にした物語です。

モミの木の一生は、華やかなクリスマスツリーになった時が最高の晴れ舞台のようなもの。それが過ぎれば、枯れて、焼かれて、お終い。

アンデルセンが、嘗て、少年時代に憧れていた未知の世界を想像したとき、それは小さなモミノ木と同じ心情だっただろうと思います。

モミノ木が自分の宿命を受け入れた時も、また、それもアンデルセンの気持を描いたのだろうと。

スヴェン・オットーの絵はいつも緻密に細部に至るまで神経を注ぎ、見る者に感動を与えます。絵画鑑賞のように大いに楽しめます。

*国際アンデルセン賞画家賞=スベン・オットーより再掲載です。クリスマスの絵本ですぐ思い出す絵本は、この2冊です。

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人形の顔

デジカメで撮ったけれど、機能が今一わからない。でも、掲載して

みました。この人形は店じまいした骨董品店で貰ったものです。

髪の毛もほとんどなく、着物も着ていなかった。顔以外、ほとんど

壊れていた。でも、この顔を見ていたら、勿体ないと思い、髪の毛を

少したして、縮緬の風呂敷で着物を作り、体も寄せ集めで作りました。

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「カングル・ワングルのぼうし」

Kannguru エドワード・リア ぶん ヘレン・オクセンバリー え にいくら としかず やく ほるぷ出版 1976210日発行

カングル・ワングルは木の上に住んでいた。大きな毛皮の帽子をかぶったまま。顔は隠れて誰にも見えない。ひとりぼっちのカングル・ワングル。でも、この大きな帽子を見た動物たちが、みんなで暮らそうとやってきた。・・・・。

このお話の作者はイギリスのノンセンス(ナンセンス)詩人のエドワード・リア。岩波文庫―完訳「ナンセンスの絵本」(エドワード・リア:作 柳瀬尚紀:訳)の中に、娘の帽子にたくさんの鳥たちが、とまって、もみくちゃになっている絵があります。娘はそれを喜んで、飛んでいる鳥は友だちと。

カングル・ワングルと似ていますが、ヘレン・オクセバリーの描いた絵は色彩豊かに、楽しい子ども向きの絵本になっています。1969年ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品。

その他にも

*「うちのペットはドラゴン」「きょうはみんなでくまがりだ」*「はたらきもののあひるどん」「3びきのかわいいオオカミ」「いっぱいいっぱい」「ふしぎの国のアリス」等も受賞しています。絵本作家のジョン・バーニンガム夫人です。

*2004年、2006年のアンデルセン賞作家賞の絵です。

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「ガンピーさんのふなあそび」

Gannpi ジョン・バーニンガム さく みよし なつや やく ほるぷ出版 19769月 第1刷発行 19969月 第33刷発行 1970年ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品。

ある日、ガンピーさんは船に乗って出かけた。すると、子どもたちが「いっしょに つれてって」というと、ガンピーさんは「けんかさえ しなけりゃね」といった。そして、兎、猫、犬、豚、羊、鶏、子牛、山羊、と、ガンピーさんは、それぞれの動物たちに注意をしてから乗せた。しばらくは、ガンピーさんとの約束を守って、川下りを楽しんでいたが、・・・。☆ジョン・バーニンガムのさりげない絵本にはいつも、作品ごとに大事なテーマが隠されています。船を地球に例えたらどうだろう。あるいは、家族でもいい。☆ガンピーさんの注意を守らなかった為、船はひっくり返ってしまいます。みんな岸まで泳ぎ、土手にあがり、おひさまにあたりながら野原をよこぎって、ガンピーさんの家まで歩いていきます。テーブルを囲んでみんなでお茶を飲みます。そして、ガンピーさんは「また いつか のりにおいでよ」と。・・・どこまでもやさしいガンピーさん。

Itumotikoku 「いつも ちこくの おとこのこージョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー」 たにかわしゅんたろう やく あかね書房 1988年初版

いつも遅刻の男の子の名前が、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーと長いのはユーモア?そして、遅刻の理由を信じないで、罰ばかり与える先生には、バッチリ。どこまでも子どもの味方の作者バーニンガム。

「エドワルド せかいで いちばん おぞましい おとこのこ」20063/ほるぷ出版/訳:千葉茂樹)、「いっしょに きしゃに のせてって」(2006/4/瑞雲舎 やく:長田 弘)☆子どもと動物たちの悲哀をユーモアに?

「ボルカ」(ほるぷ出版 やく:きじま はじめ)1963年にケイト・グリーナウェイ賞受賞作品。「バラライカねずみのドラブロフ」(童話館出版 やく:せた ていじ)等多数。

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「しろいゆき あかるいゆき」

Siroiyuki さく アルビン・トレッセルト え ロジャー・デュボアザン やく えくに かおり ブックローン出版 19551010日 第1刷発行 1948年コールデコット賞受賞。

著者のアルビン・トレッセルトさんによると、このお話は、ニューヨークの冬の夜、雪の中を歩いている時に、先に詩ができたのだそうです。

しずかなよるに ふうわり おっとり

きたのそらから しいんと しろく

ひひと ふりつもる こっそりと まいおりて

しずかなよるに ふうわり おっとり

えくにかおりさんの訳によるものなのでしょうか?冷たい雪が綿のようにあたたかい。お話のほうは、今にも雪が降りそうな灰色の空を見上げて郵便屋さん、お百姓さん、お巡りさんたちは、雪に備えて準備。でも、子どもたちは、待ちきれずに外に出て空を見上げ、うさぎたちは大慌てで走っていく。雪の降る日のさりげない日常的な事を語ったもの。ロジャー・デュボアザンは、その言葉をより美しく絵で表現。

ロジャー・デュボアザン

1904年(~1980年)スイス・ジュネーブ生まれ。1930年にアメリカにわたり、38年に帰化。夫人のルイーズ・ファティオとのコンビによる作品多数。

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「ペンギンのヘクター」

Penngin2_2  ぶん ルイーズ・ファティオ え ロジャー・デュボアザン やく 岡本浜江 童話館出版 1997710日 第1刷発行

ペンギンのヘクターは、別の動物園へ移るため、トラックの荷台にのせられた。ところが、突然トラックがガタンと揺れ、後ろのドアが開いた。ヘクターは、転がり落ちた。そこはさびしい森のはずれ。ヘクターは、これまで森を見たことがなかった。・・・・。

森の動物たちと一緒に自分探しをするペンギンのヘクター。文も絵もいい。子どもたちには、たくさんの動物たちが出てきますから、きっと喜ぶでしょう。ペンギンの自分探しは、自分がペンギンであることを知ることでしょうね。その役割をカラスが見事にするのですから。大人にも考えさせられる絵本です。

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「でんでんむしの かなしみ」

Denndenn 「でんでんむしの かなしみ」の作品は、新美南吉(1913年~1943年)が東京外国語学校在学中の1935515日の制作となっています。

「かたつむり」(尋常小学校唱歌)

  1、でんでんむしむし かたつむり おまえのあたまは どこにある つのだせ やりだせ あたまだせ 

2、・・・・・・・・・・・・・・・・ めだまだせ

この唱歌を南吉も口ずさんでいたのではないだろうか。私たち子どもの頃、何となしに歌っていたけれど。

「わたしは いままで うっかりして いたけれど、 わたしのせなかには かなしみが いっぱい つまって いるでは ないか」

この悲しみはどうしたらいいか、友だちのでんでんむしに聞きに。同じでんでんむしに。人間、誰でも生きている限り、ひとつやふたつ悲しみを背負っているといいます。だからでんでんむしに??

「かたつむり」の歌詞は、南吉には悲しい歌に聞こえていたのかも知れません。うっかりしていたけれど、といっているのですから。でも、角だせ、槍だせ、頭だせ、おまけに目玉だせとは、あんまりだと???と思ったのかどうかはわかりませんけどね。かたつむりによせて。悲しみはあなただけではないよ!と・・・。

この絵本の最後は「でんでんむし」のお話になっています。でんでんむしの母と子を慈しむような言葉で語っています。

かみやま しん:絵 大日本図書 1999715日 初版第1刷発行

かみやましんさんの絵も淡い色彩を使っていいですよ。

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「ふたりは ともだち」

Hutari3_2 アーノルド・ローベル 作 三木 卓 訳 文化出版局 19721110日 第1刷発行 1971年オーナー賞受賞。

200725日には155刷も発行されているほど人気のある作品。

ふたりとは、かえるくんと、がまがえるのがまくんです。

1、はるがきたと言ってかえるくんが、がまくんの家に。

2、夏のある日、かえるくんは病気になって、がまくんにおはなしをしてと。

3、遠くに出かけたふたりは、がまくんのなくした ボタンを探しに。

4、ふたりは川へすいえいに。

5、おてがみ。

と、5話が収められている絵本です。がまくんは、ほのぼのしていて、それでいてシャイ。かえるくんはお茶目だけど情にあつい。そして、何よりふたりは、いつも本気で心配し、付き合っています。テーマは「絆」かも。

作者のアーノルド・ローベルは1933年(~1987年)、アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。病気がちな不幸な少年時代を過ごし、ポーランド生まれのアニタと出会い結婚。共著に「わたしの庭のバラの花」がある。

1981年「どうぶつものがたり」でコールデコット賞を受賞。邦訳作品も多数

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「ヨセフのだいじなコート」

Yosehu ジムズ・タバック 作 木坂 涼 訳 フレーベル館 200111月 初版第1刷発行

“ヨセフはコートをもっていました。”

”でも、あちこち すりきれて つぎを あてていました。”

絵本のページに言葉は僅か1行程度。コートからジャケットに、ジャケットからコートに作り変えていく。その格子模様のコートの移り変わりがわかるように、切り抜いて、穴あきにして、ユーモラスに仕掛けていく。・・・・

隅々まで色濃く描かれたとてもカラフルな切り抜き絵本です。2000年コールデコット賞受賞作品です。子どもの頃、母が、戦後、物のない時に、着物から、綿入れ半纏をつくり、その半纏がぼろぼろになると、すれ切れていない布地部分を利用して、防災頭巾を作ってくれました。絵本を見ながら、ふとそんなことを思い出していました。

絵本の終わりの“読者のみなさんへ”を読むと、子どもの頃、好きだったイディシュ語の「オーバーコートをもっていた」という歌をアレンジして作った絵本だそうです。

その他のタバック流とも言われている愉快な絵本に、オーナー賞受賞した「ハエをのみこんだおばあさん」と「これはジャックのたてたいえ」等があります。

前回紹介した「ありがたいこってす!」と、よく似たお話「やかましい!」があります。

Yakamasi_2  「やかましい」ジムズ・タバック 絵 アン・マクガバン 文 木坂 涼 訳 フレーベル館 20084月 初版第1刷発行 

むかし、あるところに、小さな古い家に住んでいた、ひげもじゃのおじいさんは、ベットや床のきしむ音、あらゆる音に我慢ができなくなり「なんてこったい!やかましいったら ありゃしない」といった。そこで村一番の物知り博士のところへ相談に・・・。

物知り博士が言ったことは、逆にもっとやかましくさせる方法でした。子どもの絵本らしく、動物たちの登場です。ひげもじゃのおじいさん、物知り博士、動物たちの表情が笑えます。

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「ダフィと小鬼」

ハーヴ・ツェマック 文 マーゴット・ツェマック 画 木庭茂夫 訳 富山房 19771026日 第1刷発行 1974年コールデコット賞受賞作品

イギリス・コーンウォール地方の民話。

トローヴに、ラヴェルという郷士が住んでいた。ある晴れた朝、ラヴェルさんは馬に乗って町へでかけた。突然、ぼろ家から娘が泣きながら飛び出してきた。箒をもって追いかけてきたばあさんは、「このなまけもののあほう鳥め!」と、わめいた。娘は、郷士に向かって、「やとってください、旦那さま」「けっしてご損はかけさせません!お約束します。」と。

こうして、娘のダフィは郷士の家に行った。ラヴェルさんには奥さんはいなかったが、家事は年老いたジョーンばあさんがやっていた。ジョーンばあさんは羊毛がおいてある屋根裏へ、ダフィを連れっていった。そこで郷士さまの靴下を編むようにと。

実はダフィ、紡ぎ方なんか、これっぽちも知らなかった。「編むのもまっぴら、郷士さまの靴下なんか、悪魔がつくってくれればいい!」ダフィはさけんだ。すると、羊毛の山の後ろから、長い尻尾のある、やぶにらみの、みょうちきりんな生きものが姿を現し、おじぎをした。

その小鬼はいくらでも紡いだり編んだりしてあげようといった。「しかし、三年たったら、わしは、おまえさんを連れてゆくよーおまえさんが、わしの名前をあてないかぎりね!」・・・

☆イギリスの民話でも地方によっていろいろあるようです。同じイギリスの民話集の中に「トム・チット・トット」というお話とよく似ています。

また、グリム童話の中にある*↓「ルンペルシュティルツヘン」や、日本では「だいくとおにろく」があります。

いずれも、困っている娘や大工を助けてあげるところは同じです。その代償として要求するものが違っていますが、それができなければ、秘密にしている自分の名前をあてろと言うところは全く同じですね。

「ダフィと小鬼」の顛末は、小鬼の姿が消えると、小鬼の編んだものは、みんな灰になってしまいます。その結果、郷士のラヴェルさんは帽子と靴だけの体になってしまいます。絵もそのように描いています。

,*http://sekijitu.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-24a6.html

マーゴット・ツェマックさんのその他の作品で「ありがたいこってす!」は1978年のコールデコット賞オーナー賞を受賞しています。ほるぷ出版 わたなべ しげお やく 1980年発行

Arigata

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「つるーサダコの願い」

Turu エリナー・コア 文 エド・ヤング 絵 こだまともこ 訳 日本図書センター 2005625日 初版第1刷発行 

この作品を書かれたエリナ・コアさんはカナダ出身の方です。1949年、戦後の日本を取材するため、記者として来日し、原爆後の惨状にショックを受け、60年代に再来日しています。その時に千羽鶴で飾られた原爆の子の像を見て感動したそうです。本書がその原作です。そして、この著書の絵を描かれたのがエド・ヤングさんです。 

私たちの年代では、もう語りつくされてきた戦後の話、敗戦の話、原爆の話なのですが、こうして絵本を改めて眺めますと、何とも言えない気持ちがこみあげてきます。千羽鶴に込めた願いが、文からも絵からも伝わってきます。一度手に取ってみてください。

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