カテゴリー「イソップ寓話」の5件の記事

イソップの「ライオンとねずみ」

バーナデット・ワッツ=再話・絵 ささきたづこ=訳 講談社 20014月 第1

【話】ライオンがかつて子どもだった頃、ジャングルで昼寝をしていた時、ねずみが飛び出して、うっかり子どもライオンの前足にのってしまった。ねずみは恐ろしくて身動きできなかった。子どもライオンは小さなネズミを見て、何もしないから、さっさと走って行きなと。すると、ねずみは助けがいる時はいつでも呼んで下さいと言って、急いで逃げた。

やがて、子どもだったライオンは、動物たちに王さまと呼ばれるようになった。ある日、ライオンの王さまは、罠にかかって、編みに閉じ込められてしまった。夜になっても、ライオンは網から出られず、ほえつづけた。朝になると、ねずみが現れて網を鋭い歯でかじり穴を開けた。・・・・。

【所感】岩波文庫のイソップ寓話集(中務哲郎:訳)には「ライオンと鼠の恩返し」というタイトルで文も僅か数行です。最後に“時勢が変われば、いかな有力者でも弱い者の助けが必要になる、ということをこの話は説き明かしている。”と。

絵本は子ども向けに、書かれていて、ライオンもやさしく、ほのぼのとしています。訓話を言葉とあたたかい絵で表現していると思います。百獣の王様を、いつも馬鹿にされていた鼠が、助けるお話に、子どもたちも喜ぶと思います。

さて、このイソップの「ライオンとねずみ」のお話が古代エジプト物語にあります。

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「イソップのお話」

河野与一編訳 岩波少年文庫 1955年第1刷 2007年新版第9刷 少年少女のために選りすぐった300編は、原典ギリシア語から訳されたそうです。その文庫版に収められていたお話からです。

「山のロバと家のロバ」

【話】山のロバが、日なたでぶらぶらしている家のロバを見て、側へやって来て、ご馳走を食べて太っているのが羨ましいと言った。ところが、しばらくして家のロバは重い荷物をしょわされ、ロバひきが後ろから棒でぶっていた。

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【所感】田舎のネズミとハゲイトウと山のロバと仲間が増えました。この本では「野ネズミと家ネズミ」「バラとケイトウ」と若干タイトルが違っていますが、同じお話です。

教訓は危ないことや、辛いことがついてまわる利益は、羨ましがるには及ばないとなっています。

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イソップ「19のおはなしとイソップにまつわる伝説と歴史 」

バーバラ・ベイダー:文 アーサー・ガイサート:絵 いずみちほこ:訳 セーラー出版

この本一冊で、イソップの伝説と歴史の概要がわかり、そしてアーサー・ガイサートの地味な絵が寓話をより効果的にあらわし、また文もわかりやすい言葉で訳されています。

イソップの誕生にはいろいろな伝説があります。

最初の主人のクサントゥスは哲学者で、競り市にかけられたイソップと問答をはじめます。勿論、事実かどうかわかりませんけど、可笑しいのです。

A:お前はどこから(きたか)

B:肉から(肉でできた人間)

A:そうではなくて、どこで生まれたのだ。

B:母の胎内で

A:いやいやいかなる場所で生まれたのかと聞いているのだ。

A:寝室でか食堂でか、おっ母さんから聞いていない。

クサントゥスはわずかなお金でイソップを買って、召使いにしました。イソップが自由を得たのは、王さまから難問を課せられたクサントゥスを助けたからでした。自由を得たイソップは、伝説によれば、アポロンの神託所として名高いデルポイで聖物窃盗の濡れ衣を着せられ、断崖から突き落とされたそうです。

それから以後、デルポイの人々は疫病に見舞われます。罪滅ぼしとして、イソップ殺害の補償金を出すことにし、ギリシア中に告知をしました。イソップに身寄りはなく、受け取りに来たのはかつての主人イアドモンの孫だったそうです。

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イソップは実在人物?

ソップの実在性について、”歴史的実在を証明するかと思われる古文献も一つしかない”(*中務哲郎)と言っています。その古文献とはヘロドトス著の『歴史』の中に記述されている僅か数行の文です。

ヘロドトスは、ギリシアの歴史家で、「歴史の父」と呼ばれた人物です。紀元前5世紀、ギリシアとペルシアの戦争を、後世に伝えるために、その当時の説話や、風土習俗も織り交ぜて、書いたといわれています。

その壮大な物語に、僅かなスペースに、イソップのことが書かれています。エジプトのピラミッド建造に絡んだ話の中に遊女ロドピスの名前があり、”そのロドピスは生まれはトラキア人で、ヘパイストポリスの子イアドモンというサモス人に仕えた奴隷でした。かの寓話作家アイソポス(イソップ)とは朋輩の奴隷であった”というのです。

この文献から、ほぼ実在していただろう、となっているようです。

「イソップ寓話集」中務哲郎訳 岩波文庫 1999年(新訳471篇)

ヘロドトス著「歴史」岩波文庫 上・中・下 松平千秋:訳

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「イソップのお話から」

Isoppu1_2  バーナデット絵 やがわすみこ訳 西村書店 1990年1月20日 第1刷 20編

「まちのネズミといなかのネズミ」

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【話】町のネズミは田舎のネズミの食事があまり粗末なので、町のネズミの家に連れてきた。ハムやチーズ、パンにオートミールだのと、見たことのない、ご馳走に大喜び。でも、そこは人間の住む家でした。人の気配を感じるたびに、二匹は穴に逃げた。田舎のネズミは、びくびくして贅沢するより、貧しい食べ物でも、呑気に暮らせる田舎がいいと思った。

「バラとハゲイトウ」

【話】バラとハゲイトウが、同じ庭に咲いていた。ハゲイトウはバラが羨ましかった。みんなに愛され、もてはやされ、姿も匂いもいい。バラはしんみりした声で答えた。バラの命は短く、すぐ散ってしまう。けれど、ハゲイトウはいつまでも若くて、長く生きていられる。一時の贅沢より、質素に長く生きられるほうがいいと。

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【所感】この絵本には教訓が書かれてありません。寓話と呼ばれるお話につきもののお説教は、敢えて、省略したそうです。

田舎のネズミとハゲイトウは町のネズミとバラが羨ましかったけれど、でも、よく考えたら、自分の方が幸せかもと。この対比は、何通りでもできそうですね。人の心は2500年経ても変わらないと言うことでしょうか。イソップは紀元前6世紀の人で、それも奴隷の身分だったと言うのですから。彼の頓知は生きていくため唯一の武器だったのかも知れません。しかし、そのイソップも非業の最期を遂げています。

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