カテゴリー「アンデルセン」の6件の記事

アンデルセン原作「にんぎょひめ」「人魚姫」

①「にんぎょひめ」ぶん・その あやこ え・いわさき ちひろ 偕成社 1967121刷 作家の曽野綾子さんの文です。簡潔な文書で、小さな子どもにもわかるように書かれており、絵も岩崎ちひろさんの画風で、より幻想的な世界を美しく描いています。

②「人魚姫」

ラズロ・ガル絵 マーガレット・マローニー再話 かつら ゆうこ 訳 ほるぷ出版 19858月1刷 原作に忠実なマーガレット・マローニーさんによる再話です。訳された桂宥子さんのあとがきには「人魚姫」の原画を見た時から、日本の読者に紹介したいと願って、やっと実現したとのこと。

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【話】海に住む人魚姫が、嵐で難破された船から放り出された王子を助けてから、その王子に恋い焦がれ、大きな代償を払って人間になる。舌をきられた人魚姫の思いは王子に伝えることもできないまま、海の魔女と交わした掟に従って海に飛び込む。波間に泡となって消えていき、空気の娘たちと一緒に空高く舞いあがっていった。

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【所感】「人魚姫」の出だしの文章から部分的に抜粋。“遠い海のはるか沖合では、水がヤグルマギクのように青く、水晶のように透き通り。・・海の底は白い砂浜、何もかも青い光で包まれた海の底。・・人魚の王さまのお城は、サンゴの壁にアーチの琥珀の窓。屋根はたくさんの真珠貝。くれない色やあい色の木が茂る庭。木の実は金色に煌めき、花は火のように輝く”

等々の言葉はまるで、これから始まる舞台の演出家が説明しているようです。人魚姫が住んでいた夢の御殿は地面の下。人間の住む陸は地上。アンデルセンが愛した女性は地上の上流貴族でした。人魚姫のように、もともとかなわない恋でした。彼の切々とした思いは、湧水の如く、こんこんと言葉になって出てきたのだろうと思います。彼の体験した心情が最も童話に反映された作品かも知れません。彼が32歳の時1837年に出した「人魚姫」は(『子供のための童話集』第三冊に収録)、人々に感動を与え、童話作家として認めさせ、名声を得ることになった代表作です。,

参考文献:著者山室 静「アンデルセンの生涯」 初版1975年6月20日 新潮社

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アンデルセン「スズの兵隊」

Suzu マーシャ・ブラウン:絵 光吉夏弥:訳 岩波書店 19961115日 第1刷発行

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【話】男の子が誕生日に貰ったおもちゃは25人のスズ(ブリキ)の兵隊でした。箱の中からテーブルに並べてみると、一人の兵隊だけ1本の足しかなかった。(最後に作られたときスズがたりなかったので。)その1本足のスズの兵隊が同じテーブルの上で見初めた娘は、バレエで片足を高く上げていた為、自分と同じ1本足なんだろうと思った。彼はお嫁さんになってくれたらいいなあと切望した。娘が立っているところは立派なお城の前。自分は箱の中で、おまけに25人と一緒に暮らしている。せめて友だちになれたら・・・。それから、兵隊さんの受難が続く。どんな時でも彼女を忘れたことはなかった。兵隊さんの愛がかなったのは、ストーブに燃やされて溶けてしまった時だった。・・・・・・・・・。

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【所感】1本足でも健気なに立派な心構えを持っている兵隊さんです。童話のタイトルは「しっかり者の錫の兵隊」となっているのは、そのためでしょう。下層階級に生まれた兵隊さん、よりによって1本足。

「ミッケ」では、スズの兵隊さんの後ろ姿と正面に向いたバレリーナを中央に描いています。物語を知らない子どもでも、そこはミッケの得意なおもちゃの世界です。それで充分楽しめると思います。スズの兵隊さんの結末はドラマチックでした。死しても目に見える形が良かったと思います。

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「ナイチンゲール」

Naiti 原作:HC・アンデルセン 文:角野栄子 絵:太田大八 小学館 2004920日初版第1刷発行

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【話】昔、中国の皇帝の都には世界中からたくさんの旅人がやってくる。みんな豪華な宮殿を見て感心するけれど、ナイチンゲールと呼ばれていた鳥の歌声が一番素晴らしいといった。皇帝は自分の都にいるというこの鳥の声を一度も聞いたことがなかった。皇帝はさっそく大臣に探すように命令した。

ナイチンゲールは小さな灰色をした鳥でしたが、歌声を聴いた皇帝は涙まで流した。それから、宮殿で大事にされて暮らした。

ある日のこと、日本の帝から贈り物が届いた。それは、ダイヤやルビーやサファイアをちりばめた作り物の鳥でした。ねじを巻くとナイチンゲールと同じように上手に歌ったので、合唱させようと試みた。ところが、上手く合わなかった。ナイチンゲールは緑の森に帰えってしまった。

それから1年が経ち、作り物の鳥は壊れた。修理をして直したが、機械がひどく傷んでいた為、一年に一度しか歌わせることができなかった。

それから5年後、皇帝は重い病気にかかった。宮殿の人たちは、もう皇帝は亡くなったと思って去った。誰もいなくなった部屋に死に神が現れ、周りのカーテンから不思議な顔がいくつも覗き囁いた。皇帝は震えた。その囁きを遮るには音楽だと叫んだ。しかし、ねじを巻く人までいなくなっていたので、作り物の歌声すら聴くことはできなかった。皇帝が苦しんでいる時、高い窓の向こうから、美しい歌声が聞こえてきた。

美しい歌声が響き渡ると、囁いていた不思議な顔たちは消え、死に神までが窓から出て行った。皇帝は安らかな眠りに落ち、やがて、朝の光が窓からさしてきたころ、目を覚ました。あの小さなナイチンゲールは、尚も歌い続けていた。

皇帝は感激した。これからずっとそばにいて欲しいと、そして、あの作り物の鳥を壊してしまおうとも言った。ナイチンゲールはあの鳥も一生懸命歌っていたのだからと反対し、これからは自分が飛んできて来て、世の中で起きていることや、悪いことを陛下に話をして、陛下をはじめみなさんが幸せになるように心を込めて歌うといった。

その代り1つだけ約束して欲しいと。その約束とは・・・・・。

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【所感】皇帝を助けたのは小さな灰色の鳥、ナイチンゲールでした。美しい歌声に癒されて元気になります。この話はアンデルセンの年賦を見ると、「みにくいあひるの子」と共に1843年(38歳)で刊行された『新童話集』に収められたものです。

この物語のキーワードは[ほんものは気のむくままうたうので]という言葉でしょうか。音楽長が正確に歌う作り物の鳥の肩を持つシーンがあります。自然の中で自由に歌っているナイチンゲールはこの話を聞いたのでしょうね。宝石で作られた偽物の鳥のほうが勝れていると言われたようなものですから。只、その作り物が日本からの贈り物。黄金の国ジパングとして紹介されていたマルコ・ポーロの「東方見聞録」の影響でしょうか????。

絵は太田大八さんです。長い話ですけど、絵だけでも充分楽しめます。

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アンデルセン「雪の女王」新装版

Yukino バーナデット 絵 ささきたづこ 訳 1999111日第1刷発行 西村書店

<はじめに>

悪魔が作った鏡を小鬼たちの手から地上へと滑り落ちてしまった。砂つぶより小さくなった鏡のかけらが世界中に飛び散った。そのかけらが目に入ると、その人はすべての物事を意地悪い目で見るようになり、そのかけらが心臓につきささると、心は氷のように冷えきってしまう。

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【話】大きい町に、ふたりの貧しい子どもが住んでいた。ふたりは、まるで兄妹のようになかよしで、男の子はカイ、女の子はゲルダといった。

ある時、ふたりが雪の中で跳ねまわっていると、突然、カイが叫び声をあげた。あの鏡のかけらが目に入り、心臓にまで刺さってしまった。すると、カイは一変し、ゲルダをおいて走り去ってしまった。

大きいそりを手に入れたカイは、雪の舞い散る中を物凄い速さで走った。カイの目の前で白い大きなそりがとまり、そりに乗っていた人が立ち上がった。白い毛皮は雪でできていて、すらりと高く、白く輝く美しい雪の女王だった。雪の女王はカイを乗せると空高く上り走り続けた。そして、北極の近くにある女王の城へと連れて行った。

ゲルダはカイがいつまでも帰って来ないので心配になり、町中をさがし回った。冬の間、泣いていたゲルダも春になって、新しい赤い靴を履いて外に出た。川べりまで行き、川に尋ねた。何も答えてくれなかった川の岸辺には舟が繋がれてあった。それに乗ってゲルダは赤い靴を川に投げた。この川がカイの所まで運んでくれるかも知れないと思った。

それから、ゲルダは、会う人々にカイの話をして、バラやカラスやトナカイに尋ねたりしてやっと極寒の地に辿り着く。

その時、ゲルダは靴もなく、手袋もなかった。そんなゲルダをさらに雪の兵隊が襲った。それにも負けず、城へと向かった。女王の城は百以上の大広間があり、オーロラの光に明るく照らされていた。そのまん中に、凍った湖があった。そこでカイはひとり座って、氷のかけらで遊んでいた。

ゲルダはカイを見つけると、しっかり抱きしめて「カイ!私のだいじなカイ!とうとう見つけたわ」と叫んだ。けれど、カイは冷えきった体のまま身動きしなかった。ゲルダの目からあつい涙がこぼれ、カイの胸に落ちた。涙は心臓にまでしみわたり、鏡のかけらを溶かした。するとカイは・・・・・・・・。

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【所感】この物語は映画、ドラマ、アニメ、まんがになったりしているのだそうです。と言ってどれも見てはいないのですが。少女のひたむきで無邪気な心は、山賊の娘も親切になり、フイン人の女も少女の力を見抜き、トナカイに雪の女王の国の近くまで送るように言いつけます。トナカイは走りに走って、別れの時は大粒の涙を流します。少女の一途な思いは、愛情物語としても感動させます。童話としては長編ですが、それを大型絵本にしたことで読み聞かせにも大丈夫。雪の女王として見られるのは絵本の表紙だけですが、この絵一枚だけでも女王らしさが伝わってきます。雪の女王として。

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アンデルセン『赤いくつ』

かんざわ としこ・ぶん いわさきちひろ・え 偕成社 1968年8月1刷 1981年9月改訂

【あらすじ】

ある所に、カーレンという、かわいい女子がいた。家が貧しかったので、夏は裸足で冬は堅い木靴を履いていた。その為、小さな足は真っ赤になって痛そうでした。そんなカーレンのために親切な靴屋のおかみさんが古い布で赤い靴を縫ってくれた。その赤い靴を貰ったのは、おかあさんの葬式の日だった。初めて赤い靴を履いておかあさんのお棺の後から付いて行った。

この時のカーレンを非難する者はいなかった。むしろ哀れに思い裕福な家の奥さまにひきとられた。

子どもたちが初めてキリスト教の教会の正会員になる堅信礼の儀式の日、奥さまに買ってもらった美しい赤い靴を履いて出かけてしまった。年をとって目の悪かった奥さまはカーレンの赤い靴には気がつかなかった。

松葉杖をついた年寄りの兵隊はカーレンの赤い靴に「しっかりくっついておどるんですぞ」と言った。教会を出てから、ひとりでに足が踊りだして止まらなくなってしまう。・・・・。

【所感】

堅信礼の日に赤い靴を履いて教会へ行ったこと。次の日曜日の聖さん式の日も赤い靴を履いて教会へ行ってしまったこと。さらに、孤児になったカーレンを面倒見てくれた奥さまが助かりそうもないときに、赤い靴を履いて舞踏会へ出かけて行ってしまったこと。カーレンはそのために天使から厳しい宣告を受けます。

”あかいくつをはいてから、わたし、どうしてもおどりをやめることができないの。どうかこのあしをきりすててください。”

ここに出てくる赤い靴は魔女が仕掛けた罠みたいですね。その誘惑に負けたカーレンは足を切り落とされるはめに。ちひろの絵が幻想的です。少女の運命の儚さは、まるでマッチ売りの少女のようです。そして、カーレンの魂は天国へ・・・・。

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アンデルセンの「火打ち箱」

<岩波文庫>大畑末吉:訳

アンデルセンの自伝『わが生涯の童話』の書き出しは「私の生涯は一編の美しい童話であった。・・・」で始まっています。彼が30歳の時に最初の童話集『子供のための童話集』を2冊だしています。その第一冊に『火打ち箱』という話があります。

その基になっているのが「アラジンと魔法のランプ」です。ペルシャのおとぎ話「アラビアンナイト」(千夜一夜物語)の中にあるお話です。

登場人物が、アラジン→兵隊、魔法使いのおじいさん→おばあさん、魔神→犬、皇帝→王さまになっていて、変わらないのは、美しいお姫様です。

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一人の兵隊さんが、家に帰る途中で、年をとった魔法使いのお婆さんに出会います。木のてっぺんのほら穴から、三番目の金箱から古い火打ち箱を持って来て欲しいと頼まれます。

金箱に入っていた金貨は、兵隊さんのものにしていいと言われるのですが、その魔女もあっさり殺して、火打ち箱も手に入れます。

その火打ち箱が魔法のランプと同じなんですね。魔神のような能力を持った犬。その犬に、御殿からお姫様を連れ出してきてもらいます。それが原因で処刑されることになってしまいます。

いよいよ首に縄をかけられる時になると、兵隊さんはこんなことを言いました。

”どんな罪人でも、いよいよ処刑されるという前には、無邪気な願い事を一つは、かなえてもらえるそうではありませんか。私にも、いまわのきわに、どうぞ最後のたばこを一服のませてください。・・そこで、兵隊さんは火打石を出して、一、二、三、と火をきりました。するとたちまち、・・犬が三匹ともあらわれました。”

リズムがあり、ユーモアもあって、楽しい創作童話に。

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絵本『アラジンと魔法のランプ』アンドルーラング:再話 エロール・ル・カイン:絵 中川千尋:訳 ほるぷ出版

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