カテゴリー「日本絵本賞」の5件の記事

ロシアの昔話「きつねとうさぎ」

Kitunetou_2   F・ヤールブソワ=絵 Y・ノルシュティン=構成 こじまひろこ=訳 福音館書店 20031125日発行

ロシアの昔話をアニメーション監督のユーリー・ノルシュティン氏が文の構成をし、私生活でもパートナであるフランチェスカ・ヤールブソワさんが絵を描き、絵本にした作品。

ウサギはキツネに自分の家から追い出されて困っているのに、ウサギの大きな目はひょうきんにさえ見える。ウサギさんのためにオオカミや、クマ、ウシまでも登場させるが、キツネの乱暴な言葉に、恐れをなして、みんな逃げてしまう。最後に、颯爽と現れたのは剣を持った雄鶏・・・・・。

結果は勿論ハッピーエンドです。雄鶏が?そうです。オオカミもクマもウシも言っている言葉は同じなんですね。ところが、雄鶏はキツネに脅される前にさけび、うたうんです。侍がヤーヤーと名のり上げるみたいに。悪いキツネがスカートなんか穿いて、怖いというより、ユーモアに描かれています。文は何度も同じ言葉を繰り返してリズミカルに。それに合わせるかのように絵も躍動感に溢れていて色彩も明るく、楽しめます。

2003年(第9回)日本絵本賞・翻訳絵本賞

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「きつねのかみさま」

Kituneno あまんきみこ・作 酒井駒子・絵 ポプラ社 200312月 第1刷発行

二人の幼い姉弟とこぎつねのお話。姉のりえちゃんが公園に忘れた縄跳びの紐を弟のけんちゃんと探しに行った。すると、こぎつねたちが縄跳びをして遊んでいた。「おおなみ こなみ ぐるっと まわって きつねの め」木のかげから、そのようすを見ていた姉のりえちゃんは思わず笑いそうになって口を押さえた。けれど、弟のけんちゃんは、声を出して笑ってしまった。くくっと。・・・・・・。

酒井駒子さんの描く子どもの絵は、いつも愛くるしい。可愛い顔をした姉のりえちゃんは、幼いけれど、こぎつねに見せる思いやりは、まるで仏さまのように慈悲深い。弟のけんちゃんの「そうかあ。おねえちゃんは、きつねのかみさまだ。くくくっ」という言葉でファンタジーから現実に戻される。誰もがりえちゃんのような優しさを持っていたらと。

2003年、9回日本絵本賞

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2008年,日本絵本賞「屋上のとんがり帽子」

Okujyou 月刊「たくさんのふしぎ」20029月号(第210号)「屋上のとんがり帽子」

折原 恵・写真と文 福音館書店 

フリーカメラマンの折原恵さんがニューヨークで撮った写真集。それも屋上にあるとんがり帽子のような形をしたものばかり。本当に何だろうと頁をめくりながら見ると合点する。大人が見ても面白い。「たくさんのふしぎ」にぴったり。

*日本絵本賞について

「絵本芸術の普及、絵本読書の振興、絵本出版の発展に寄与する」ことを目的に、全国学校図書館協議会と毎日新聞社によって、1995年に創設されたものです。

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「クラウデイアのいのり」

Kuraudeli_2  村尾靖子・文 小林 豊・絵 ポプラ社 2008年7月 第1刷

この絵本を見て驚きました。また、海拓社より「クラウデイアの奇蹟の愛」ノンフイクションとして出版されていたことも。この話はメディアを通して知っていましたから。

”戦争後のロシアで思いもよらない出会いをした日本人男性とロシア人女性。40年もの歳月をともに支えあい、ひたむきに生きた二人の愛はかけがえのないものに・・・・・。”

日本で待っていた家族のもとへ51年ぶりに帰ったのですから、本来なら心から喜んであげたい話なのですが。何故か悲しい。とても複雑な気持です。

絵も「せかいいちうつくしいぼくの村」など、多くの絵本を描いてきた小林豊氏です。この絵本に携わってきた方々の思いは、日本人として、クラウデイアさんに感謝の気持を表したかったのだろうと思いました。

2008年:日本絵本賞読者賞(山田養蜂場賞)

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『ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸』

Kokoga アメリカの詩人アーサー・ビナードとアメリカの画家ベン・シャーンによる第五福竜丸事件の絵本です。アーサー・ビナードが2歳の時、1969年にベン・シャーンは亡くなっています。

195431日、マーシャル諸島のビキニ環礁で、アメリカが水爆実験を行った。爆発時、その近くで(危険地域外の公海)操業していた遠洋マグロ漁船第五福竜丸は、死の灰をもろに浴びた。この事件を物理学者ラルフ・ラップが月刊誌に記事を掲載。そのルポに挿絵を描いたのがベン・シャーンだそうです。この絵本が生まれたいきさつは巻末にアーサー・ビナード自ら、詳しく述べています。

詩の始まりは“ひとは 家をたてて その中にすむ ここ 日本の 焼津という まちも 家がいっぱい。 マグロは いつも およいで とまることはない。 マグロの すむ家は 海のあちこち”

穏やかで、静かで、分かりやすい言葉で語りかけてくるように 短い語句が並んでいます。1954122日 第五福竜丸という りっぱな船に 23人の漁師が のって 焼津の みなとから 海にでた。 家族は 手をふって 船を 見おくり もう そのときから 23人が ぶじ かえってくるのを まちはじめた。船にのれば そこは みんなの家。”

詩は語り、絵は語り、見る者は目で語り、目頭が熱くなりました。2006930日 第1刷発行 集英社 装丁・デザイン 和田誠

詩を書いたアーサー・ビナードは小熊秀雄の『焼かれた魚』を英訳し(絵:市川曜子)、バロル舎より200624日に出版されています。2006年:日本絵本賞

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