カテゴリー「コールデコット賞」の24件の記事

「しろいゆき あかるいゆき」

Siroiyuki さく アルビン・トレッセルト え ロジャー・デュボアザン やく えくに かおり ブックローン出版 19551010日 第1刷発行 1948年コールデコット賞受賞。

著者のアルビン・トレッセルトさんによると、このお話は、ニューヨークの冬の夜、雪の中を歩いている時に、先に詩ができたのだそうです。

しずかなよるに ふうわり おっとり

きたのそらから しいんと しろく

ひひと ふりつもる こっそりと まいおりて

しずかなよるに ふうわり おっとり

えくにかおりさんの訳によるものなのでしょうか?冷たい雪が綿のようにあたたかい。お話のほうは、今にも雪が降りそうな灰色の空を見上げて郵便屋さん、お百姓さん、お巡りさんたちは、雪に備えて準備。でも、子どもたちは、待ちきれずに外に出て空を見上げ、うさぎたちは大慌てで走っていく。雪の降る日のさりげない日常的な事を語ったもの。ロジャー・デュボアザンは、その言葉をより美しく絵で表現。

ロジャー・デュボアザン

1904年(~1980年)スイス・ジュネーブ生まれ。1930年にアメリカにわたり、38年に帰化。夫人のルイーズ・ファティオとのコンビによる作品多数。

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「ペンギンのヘクター」

Penngin2_2  ぶん ルイーズ・ファティオ え ロジャー・デュボアザン やく 岡本浜江 童話館出版 1997710日 第1刷発行

ペンギンのヘクターは、別の動物園へ移るため、トラックの荷台にのせられた。ところが、突然トラックがガタンと揺れ、後ろのドアが開いた。ヘクターは、転がり落ちた。そこはさびしい森のはずれ。ヘクターは、これまで森を見たことがなかった。・・・・。

森の動物たちと一緒に自分探しをするペンギンのヘクター。文も絵もいい。子どもたちには、たくさんの動物たちが出てきますから、きっと喜ぶでしょう。ペンギンの自分探しは、自分がペンギンであることを知ることでしょうね。その役割をカラスが見事にするのですから。大人にも考えさせられる絵本です。

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「ふたりは ともだち」

Hutari3_2 アーノルド・ローベル 作 三木 卓 訳 文化出版局 19721110日 第1刷発行 1971年オーナー賞受賞。

200725日には155刷も発行されているほど人気のある作品。

ふたりとは、かえるくんと、がまがえるのがまくんです。

1、はるがきたと言ってかえるくんが、がまくんの家に。

2、夏のある日、かえるくんは病気になって、がまくんにおはなしをしてと。

3、遠くに出かけたふたりは、がまくんのなくした ボタンを探しに。

4、ふたりは川へすいえいに。

5、おてがみ。

と、5話が収められている絵本です。がまくんは、ほのぼのしていて、それでいてシャイ。かえるくんはお茶目だけど情にあつい。そして、何よりふたりは、いつも本気で心配し、付き合っています。テーマは「絆」かも。

作者のアーノルド・ローベルは1933年(~1987年)、アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。病気がちな不幸な少年時代を過ごし、ポーランド生まれのアニタと出会い結婚。共著に「わたしの庭のバラの花」がある。

1981年「どうぶつものがたり」でコールデコット賞を受賞。邦訳作品も多数

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「ヨセフのだいじなコート」

Yosehu ジムズ・タバック 作 木坂 涼 訳 フレーベル館 200111月 初版第1刷発行

“ヨセフはコートをもっていました。”

”でも、あちこち すりきれて つぎを あてていました。”

絵本のページに言葉は僅か1行程度。コートからジャケットに、ジャケットからコートに作り変えていく。その格子模様のコートの移り変わりがわかるように、切り抜いて、穴あきにして、ユーモラスに仕掛けていく。・・・・

隅々まで色濃く描かれたとてもカラフルな切り抜き絵本です。2000年コールデコット賞受賞作品です。子どもの頃、母が、戦後、物のない時に、着物から、綿入れ半纏をつくり、その半纏がぼろぼろになると、すれ切れていない布地部分を利用して、防災頭巾を作ってくれました。絵本を見ながら、ふとそんなことを思い出していました。

絵本の終わりの“読者のみなさんへ”を読むと、子どもの頃、好きだったイディシュ語の「オーバーコートをもっていた」という歌をアレンジして作った絵本だそうです。

その他のタバック流とも言われている愉快な絵本に、オーナー賞受賞した「ハエをのみこんだおばあさん」と「これはジャックのたてたいえ」等があります。

前回紹介した「ありがたいこってす!」と、よく似たお話「やかましい!」があります。

Yakamasi_2  「やかましい」ジムズ・タバック 絵 アン・マクガバン 文 木坂 涼 訳 フレーベル館 20084月 初版第1刷発行 

むかし、あるところに、小さな古い家に住んでいた、ひげもじゃのおじいさんは、ベットや床のきしむ音、あらゆる音に我慢ができなくなり「なんてこったい!やかましいったら ありゃしない」といった。そこで村一番の物知り博士のところへ相談に・・・。

物知り博士が言ったことは、逆にもっとやかましくさせる方法でした。子どもの絵本らしく、動物たちの登場です。ひげもじゃのおじいさん、物知り博士、動物たちの表情が笑えます。

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「ダフィと小鬼」

ハーヴ・ツェマック 文 マーゴット・ツェマック 画 木庭茂夫 訳 富山房 19771026日 第1刷発行 1974年コールデコット賞受賞作品

イギリス・コーンウォール地方の民話。

トローヴに、ラヴェルという郷士が住んでいた。ある晴れた朝、ラヴェルさんは馬に乗って町へでかけた。突然、ぼろ家から娘が泣きながら飛び出してきた。箒をもって追いかけてきたばあさんは、「このなまけもののあほう鳥め!」と、わめいた。娘は、郷士に向かって、「やとってください、旦那さま」「けっしてご損はかけさせません!お約束します。」と。

こうして、娘のダフィは郷士の家に行った。ラヴェルさんには奥さんはいなかったが、家事は年老いたジョーンばあさんがやっていた。ジョーンばあさんは羊毛がおいてある屋根裏へ、ダフィを連れっていった。そこで郷士さまの靴下を編むようにと。

実はダフィ、紡ぎ方なんか、これっぽちも知らなかった。「編むのもまっぴら、郷士さまの靴下なんか、悪魔がつくってくれればいい!」ダフィはさけんだ。すると、羊毛の山の後ろから、長い尻尾のある、やぶにらみの、みょうちきりんな生きものが姿を現し、おじぎをした。

その小鬼はいくらでも紡いだり編んだりしてあげようといった。「しかし、三年たったら、わしは、おまえさんを連れてゆくよーおまえさんが、わしの名前をあてないかぎりね!」・・・

☆イギリスの民話でも地方によっていろいろあるようです。同じイギリスの民話集の中に「トム・チット・トット」というお話とよく似ています。

また、グリム童話の中にある*↓「ルンペルシュティルツヘン」や、日本では「だいくとおにろく」があります。

いずれも、困っている娘や大工を助けてあげるところは同じです。その代償として要求するものが違っていますが、それができなければ、秘密にしている自分の名前をあてろと言うところは全く同じですね。

「ダフィと小鬼」の顛末は、小鬼の姿が消えると、小鬼の編んだものは、みんな灰になってしまいます。その結果、郷士のラヴェルさんは帽子と靴だけの体になってしまいます。絵もそのように描いています。

,*http://sekijitu.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-24a6.html

マーゴット・ツェマックさんのその他の作品で「ありがたいこってす!」は1978年のコールデコット賞オーナー賞を受賞しています。ほるぷ出版 わたなべ しげお やく 1980年発行

Arigata

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「ロンポポーオオカミと三にんのむすめ」

Ronn エド・ヤング 再話/絵 藤本朝巳 訳 古今社 19991030日初版発行 1990年コールデコット受賞作品。

この絵本は、中国に伝わる昔話「虎姑婆(ロンポポ)」をもとに作られた絵本だそうです。昔話で狼が登場する作品は結構多いですね。「三びきのこぶた」、「赤ずきん」、「狼と七匹のこやぎ」等々。

ある日、お母さんは、三人の娘を残して、おばあさんの誕生日のお祝いに出かけた。年とった狼は、お母さんが出かけるのを見ていた。暗くなってから狼は、おばあさんの姿をして娘たちの家にやってきて、戸をとんとん叩いた。・・・・。

狼は娘たちをいとも簡単に騙してしまいます。狼は有頂天になって、もう隙だらけ。騙されたことを知った娘たちは、作戦をたてます。・・・・

1回目で懲りなかったら?2回目で懲りなかったら?と言っていたかどうかわかりませんが、3回目は・・・と、そこまでやるのと思いましたが。・・・さて、その作戦とは?

エド・ヤングは中国の天津で生まれ、上海で育ったと記述されていましたから、やはり画風も、娘たちも、その雰囲気が現れていて、幻想的な絵になっています。また、この作品の後に出版された「七ひきのねずみ」は1993年コールデコット・オーナー賞を受賞しています。

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「やあ、ともだち!」「こんにちは、さようならのまど」

「やあ、ともだち!」

Yatomodati_2  クリス・ラシュカ=作/絵 泉山真奈美=訳 偕成社 199581

クリス・ラシュカ、1959年ペンシルヴェニア州生まれ。父親はアメリカ人、母親はオーストリア人。デビュー作は、ジャズ界の巨匠チャーリー・パーカーを描いた*「Charlie Parker Played Be Bop」(‘92)。

2作目の「Yo! Yes?」(やあ、ともだち!)は1994年コールデコット賞オーナー賞受賞。この作品は簡潔な言葉、英語の大文字の下に日本語を記載。

「やあ!」と声をかけると「えー?」と答える二人の人種の違う男の子の絵からはじまります。そして、この二人の男の子の絵とそれを受け答える言葉だけのシンプルな絵本です。見ているだけで楽しくなります。子どもは、本来、人種差別なんて知らなかったはずです。大人たちの情報さえなければね。

「こんにちは、さようならのまど」

Konnni 文/ノートン・ジャスター 絵/クリス・ラシュカ 訳/石津ちひろ BL出版 2007年8月 第1刷発行 2006年コールデコット賞受賞作品。

小さな子どもが、クレヨンで画用紙いっぱいに描いた絵のように見えます。共働き夫婦には、子どもの世話をしてくれるとっても素敵なおじいちゃんとおばあちゃんがいた。おじいちゃんとおばあちゃんとまごの、心のふれあいを描いた作品。

“しごとの おわった ママとパパが、わたしを、むかえにくる。うちに かえるのは すごーく うれしいけれど、おばあちゃんと おじいちゃんに さようならするのは、 とても さびしい。”・・・。

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新訳「栄光への大飛行」/「パパの大飛行」

Eikou  作/アリス&マーティン・プロヴェンセン 訳/今江祥智 BL出版 2009320日 第1刷発行(1986年、福音館書店「パパの大飛行」訳:脇 明子)1984年コールデコット賞受賞作品。

1903年アメリカ合衆国のライト兄弟が初飛行に成功してから6年後、1909年フランスのルイ・ブレリオがドーバー海峡横断飛行に成功。それから、18年後、同じアメリカ合衆国のリンドバーグが1927年、ニューヨーク・パリ間、大西洋単独無着陸飛行に初めて成功。

ライト兄弟とリンドバーグ(映画:「翼よ!あれが巴里の灯」)の話は有名ですね。

ルイ・ブレリオも、航空の世界の偉大な先駆者です。そのルイ・ブレリオのお話です。経済的には恵まれていましたから、この絵本から伝わってくるルイ・ブレリオとその家族は、何とも、のどかです。アリス&マーティン・プロヴェンセン夫妻のレトロな色彩と整然とした絵のせいでしょうか。一度見たら結構忘れない絵ですね。

その他の作品「スティーヴンソンのおかしな ふなたび」「シェイカー通りの人びと」等。Sutei1

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「野うまになったむすめ」

Nouma2  ポール・ゴーブル さく じんぐう てるお やく ほるぷ出版 1980年第1刷発行

アメリカ・インディアンの娘が野うまになったお話。この作品の作者ボール・ゴーブルは1933年、イギリスに生まれる。子どもの頃からアメリカ先住民に深い関心を持ち続け1959年に初めてアメリカを訪れて、スー族とヤキ族を取材した。その後1977年からはサウス・ダコダに移住し画家として活躍。この絵本は1979年のコールデコット賞受賞作品。

アメリカ・インディアンの文化を緻密な線画で、鮮やかな色で紹介しています。日本の民話で「つるのおがんえし」やアンデルセンの「人魚姫」にしても、人間に姿を変えても、結末は人間社会から去ってしまいます。この「野うまになったむすめ」は、美しいおす馬に恋をします。そして野うまになっていくのです。人間から動物へと。

アメリカ・インディアンの民話には当たり前のように出てくる動物と人間の融合。自然といかに共生して生きてきたのか、この絵本から伝わってきます。絵も繊細でしかも、力強く美しいです。

ほるぷ出版で「バッファローのむすめ」(森下美根子:訳)「オオカミのうた」(大中弥生子:訳)等がある。また2006年に光村教育図書から「嵐のティピー」(千葉茂樹:訳)が出版されている。

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「ロバのシルベスターとまほうのこいし」

Roba ウィリアム・スタイグ:作と絵 せた ていじ:訳 評論社 19751030日 初版発行

ロバのシルベスターの楽しみは、変わった形や、変わった色の小石を集めることだった。夏休みの、ある雨の日に、シルベスターは、燃えるように赤く光っているビー玉のような小石を見つけた。この小石が「まほうのこいし」。草の茂みからライオンが襲ってくるとき慌てて「ぼくはいわになりたい」と言ってしまった。ライオンから無事、身を守ったシルベスターは岩から元の姿、ロバに戻れなくなってしまった。あの赤い小石は岩のそばにあった。・・・・・。ロバのお父さんとお母さんは帰らなかったシルベスターの安否が気になって、探し始めた。

スタイグが子ども向けに書いた作品として3冊目(?)に当たります。親子愛を丁寧に、漫画のユーモアも取り入れて描いたもの。子どもにとってもこのお話は他人事ではないような気持になるでしょうね。でも、ラストはハッピーエンドですからね。子どもの笑顔が浮かびます。そんなお話なんです。

ウィリアム・スタイグ

1907年(~200310月)11月ニューヨークのブレックリンで生まれた。1930年頃から雑誌に漫画が掲載されるようになって、人気を博した。スタイグは60歳になって児童文学へと転向した。それから、すぐに1969年「ロバのシルベスターとまほうのこいし」でコールデコット賞を受賞。

スタイグの作品はこのブログで三作品を簡単に紹介してあります。

「みにくいシュレック」「いやだいやだのスピンキー」「ピッツアぼうや」

http://sekijitu.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/index.html

http://sekijitu.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/index.html

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アレン・セイ「さんねんねたろう」

Sannnenn  アレン・セイの絵本を初めてみたのはコールデコット賞オナー賞(1989年)の受賞作品「さんねんねたろう」(The Boy of the ThreeーYear Nap)でした。

作:ダイアン・スナイダー  え:アレン・セイ 

やく:もりたきよみ 新世研 2000年11月20日発行

日本版*「三年ねたろう」の隣に置かれてあったので手にとって見ました。この作品は、数ある民話の中から「三年寝太郎」を選び、さらに基調となったのが「となりの寝太郎」だという。

母親は、首が痛くなるまで縫物をしていた。着物の仕立てで暮らしていたからだ。それに比べ、息子の太郎は太った猫みたいに怠けものだった。

”ほおっておけば、三年でも寝ているだろうと、「さんねんねたろう」とよばれていた。”

太郎が若者に成長した頃、近くに大金持ちの商人が越して来た。この大金持ちの商人を相手に、母と太郎は一芝居も二芝居もうつ。そして、まんまと商人の婿になるというお話で、ねたろうは、やはり強者にたちむかう人物としてユーモアに描かれている。

この作品の見どころは、母と息子の息の合ったやりとりでしょうね。文と絵がぴったり合って面白い作品です。それに絵がとても奇麗ですしね。

アレン・セイはその後、1994年に「おじいさんの旅」でコールデコット賞を受賞しています。

*「三ねんねたろう」バックナンバー2009年2月で紹介しています。

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