「火は早めに消さないと」
トルストイ:原作 柳川茂:文 小林豊:画 いのちのことば社 2007年11月25日発行
【話】ある村に、2軒の農家が隣り合って住んでいた。イワンの家は、父親こそ病気だったけれど、妻と3人の息子と長男の嫁がいて、暮らしはとても豊かだった。隣に住むガブリーロの家とも、父親が生きていた頃は、とても仲が良く、お互いに助け合って暮らしていた。両家の主が息子の代になってから、ようすが変わってきた。
イワンの家の嫁が飼っていた雌鶏は、いつも決まった場所で卵を産んでいた。ところが、ある日のこと。その卵が見当たらないので、家族に聞いた。一番下の弟が隣の庭で卵を産んでから、こっちに戻って来たと。そこで嫁は、思い切って、隣の家まで卵を探しに。
自分の家の庭で、きょろきょろしている隣の嫁を見つけたガブリーロの母親は、嫌みを言った。嫁も負けずに言い返した。これがことの始まりだった。・・・・。
【所感】この話は、岩波文庫、トルストイ民話集「人はなんで生きるのか」他四編(中村白葉:訳)に収録されている“火を粗末にすると━消せなくなる”を基にして、柳川氏が絵本として、わかりやすく書き直したものです。
ここで使われている「火」は、実際の火と人間同士の喧嘩や争いのこと。その原因をたどると、この話のように、ほんの些細なことでも起きるものだと、トルストイが示唆したものです。
この両家の口喧嘩は、お互いの家族を巻き込んで、どんどんエスカレートしてしまい、行き着くところは、憎しみによる放火でした。
病気で床に伏せっていたイワンの父親がイワンに何度も注意してきた言葉がタイトルになっています。真の主役はイワンの父親なんですね。イワンは、死の間際に父親の言葉に、初めて耳を傾けます。
絵は、「人にはどれだけの土地がいるか」で、柳川氏と組まれた小林豊氏です。
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